転勤族の引越し完全ガイド
会社の辞令による転勤の引越しは、自己都合の引越しとは費用・手続き・家族判断のどれもが違います。多くの費用を会社が負担する一方で境界は会社ごとに異なり、赴任手当には課税されるものと非課税のものがあり、内示から赴任日までの時間も限られます。このガイドでは、費用相場の一般論ではなく転勤族に特有の論点——会社負担と自己負担の線引き、手当の相場と課税・非課税、費用精算の実務、内示からの段取り、赴任先の役所手続き——を一次情報の数字とともに整理します。引越し費用そのものの相場は引越し費用の相場と節約のコツ、単身での荷造り・生活の立ち上げは単身引越しの段取りにゆずります。
内示・辞令を受けたらまず確認すること
転勤は「内示(正式な辞令の前の通知)」から始まることが多く、内示から赴任日まで1〜3週間しかないケースも珍しくありません。最初の数日で確認しておくべきことを押さえると、その後の段取りが一気に進みます。
- 赴任日・勤務地・赴任期間: いつまでに着任するか、期間は何年の想定か。期間は単身赴任か家族帯同かの判断に直結します。
- 会社が想定する赴任形態: 会社が単身赴任と家族帯同のどちらを前提に手当・社宅を用意しているか。前提が違うと支給が受けられないことがあります。
- 就業規則・転勤旅費規程: 引越し費用・赴任旅費・手当・社宅の支給範囲と上限、精算方法。人事に写しを請求します。
- 家族への相談: 配偶者の就業、子の学齢・転校、親の介護など、帯同可否に関わる事情を早めに家族と共有します。
労働契約や就業規則に「転勤あり」と定められている場合、正当な理由なく拒否するのは原則として難しいとされています。ただし介護・育児・健康上の事情など正当な理由があれば配置転換命令が権利濫用と判断された裁判例もあります。受諾が難しい事情があるときは、早めに人事や労働組合へ相談してください。
転勤の引越し費用の目安(転勤特有の内訳)
転勤にともなう引越しの費用は、調査により幅がありますが、全体平均でおおむね21万円前後、年代別では20代が約13万円・30代が約26万円・40代が約21万円という調査結果があります(荷物量と家族構成の違いが年代差にあらわれます)。転勤で特徴的なのは、この費用の多くが会社負担の対象になる点と、新居の初期費用がまとまってかかる点です。金額は目安で、時期(3〜4月の繁忙期は割高)や距離で変動します。一般的な料金の決まり方や節約は引越し費用の相場と節約のコツを参照してください。
| 費目 | 目安 |
|---|---|
| 初期費用の合計 | 家賃の4〜6ヶ月分(家賃10万円なら約40〜60万円) |
| 敷金・礼金 | それぞれ家賃の1〜2ヶ月分 |
| 仲介手数料 | 家賃の0.5〜1ヶ月分+消費税 |
| 火災保険料 | 1万5,000〜2万円 |
| 鍵交換費用 | 1万〜2万円 |
| 入居時の室内消毒料 | 約2万円(任意のことも多い) |
| 引越し料金(単身) | 5万〜10万円 |
| 引越し料金(夫婦) | 15万〜20万円 |
| 引越し料金(家族) | 20万〜25万円 |
出典: 各引越しメディアの費用調査(ホームズ・カルガモ引越センター等)をもとに編集部が整理。実際の金額は物件・時期・地域で変わります。
会社負担 vs 自己負担の境界
転勤の引越しでもっとも重要なのが、どこまでを会社が負担し、どこからが自己負担かの線引きです。境界は会社の「転勤旅費規程」で決まり、多くは実費精算(上限あり)です。下表は一般的な傾向で、実際の扱いは必ず自社の規程で確認してください。
| 費目 | 会社負担になりやすい | 自己負担になりやすい |
|---|---|---|
| 引越し業者代 | 会社負担(上限額あり) | 上限を超えた分 |
| 赴任旅費(本人) | 会社負担(新幹線・航空券) | — |
| 家族の赴任旅費 | 会社負担(家族帯同時) | 家族個別の追加旅費 |
| 下見・住居探しの交通費 | 会社負担のことがある | 規定外の回数分 |
| 敷金・礼金 | 会社負担(家賃の数ヶ月分が上限) | 上限を超えた分 |
| 入居時の室内消毒料 | 会社負担のことがある | 規定外なら自己負担 |
| 鍵交換費用 | 会社によっては負担 | 自己負担になりやすい |
| 家具・家電の購入 | 原則対象外 | 新生活の立ち上げ費用全般 |
| 車・バイクの陸送 | 規定があれば一部 | 規定外は自己負担 |
| ピアノ等の特殊運搬 | 規定があれば一部 | 自己負担になりやすい |
| 旧居の原状回復 | 原状回復の一部 | クリーニング・修繕の超過分 |
鍵交換・入居消毒・特殊運搬は会社ごとに扱いが割れやすい費目です。見積もりの段階で「これは規程の対象か」を人事に確認しておくと、精算時に自己負担が想定より膨らむのを防げます。
規程を読むときは、次の3点を数字で押さえるのがコツです。ひとつめは支給の上限額で、引越し業者代や敷金礼金に「家賃の何ヶ月分まで」「◯万円まで」といった上限があり、超過分は自己負担になります。ふたつめは精算の方法で、会社が業者へ直接支払うのか、いったん立て替えて領収書で精算するのか。みっつめは支給対象の線引きで、家具家電・鍵交換・車の陸送など、対象外になりやすい費目がどこまで含まれるか。規程が古く実態と合っていないこともあるため、口頭ではなくメール等の記録が残る形で人事に確認しておくと安心です。
赴任手当・単身赴任手当の相場と支給条件
転勤では引越し費用の精算とは別に、各種手当が支給されることがあります。金額は会社規模・役職・規程で幅があり、以下は公開されている事例をもとにした目安です。手当の名目によって課税・非課税の扱いが変わる点に注意してください(次章で解説)。
| 手当 | 目安 | 支給条件・備考 |
|---|---|---|
| 赴任手当(転勤手当・一時金) | 1回あたり数万〜10万円程度の事例 | 一律支給の一時金は課税、実費弁償の赴任旅費は非課税 |
| 単身赴任手当 | 月3万〜10万円程度 | 家族を帯同せず二重生活になる場合。毎月支給で課税対象 |
| 帰省旅費 | 月1〜2回分の交通費相当 | 単身赴任者向け。実費弁償の範囲は非課税、超過分は課税 |
| 住宅手当・家賃補助 | 月平均1万7,000円ほど(自己契約時) | 社宅がない場合の補助。給与課税の扱いが一般的 |
| 家族手当 | 1人あたり月3,000円程度の事例(2人で月6,000円など) | 扶養家族に応じて支給。会社規程による |
出典: 各社の転勤・賃金に関する解説記事(カルガモ引越センター・マネーフォワード等)をもとに編集部が整理。金額・支給条件は会社の規程が優先します。
手当は自動で支給されるとは限らず、申請が必要なものもあります。単身赴任手当は「家族を帯同していない」ことの届出、帰省旅費は領収書や乗車記録の提出を求められることが一般的です。支給の起算日(赴任日か着任日か)や、月の途中で赴任した場合の日割りの有無も会社ごとに違います。手当の種類・金額・申請方法・支給時期を最初にまとめて人事へ確認しておくと、受け取り漏れや二重申請を防げます。
手当・費用の課税と非課税、税控除
転勤にかかるお金は「実費弁償か、一律支給か」で税の扱いが分かれます。ここを理解しておくと、手取りの見込みや確定申告の要否を誤らずにすみます。
非課税になるもの(実費弁償の範囲)
転居のために通常必要と認められる範囲の運賃・移転料・交通費・宿泊費、住居を探すための往復交通費などは、実費弁償として非課税とされています(国税庁の「非課税とされる旅費」の考え方)。会社が業者へ直接支払う引越し代や、領収書に基づいて実費精算される費用がこれにあたります。
課税されるもの(一律支給・実費超過)
- 一律支給の「転勤支度金」「赴任手当」——実費弁償ではないため給与として課税
- 毎月支給される「単身赴任手当」「地域手当」——給与に合算して源泉徴収
- 返還されない「礼金」を会社が負担した分——給与扱いとされることがある
- 実費を超える「着後滞在費」——別居手当・住宅手当と同様に課税されることがある
手取りへの影響を見落とさない
同じ「月5万円」でも、実費弁償の帰省旅費なら非課税でそのまま手元に残りますが、単身赴任手当として毎月支給されると給与に合算され所得税・住民税・社会保険料の対象になり、額面より手取りは少なくなります。手当の名目が「実費精算」か「一律支給」かで手取りが変わるため、支給明細の名目と課税区分を確認しておくと、生活設計の見込みを誤りません。
自分でできる節税(特定支出控除・住宅ローン控除)
- 特定支出控除: 会社が負担しなかった転居費用などの自己負担分について、特定支出の合計が給与所得控除額の2分の1を超える部分を所得から控除できる場合があります。たとえば給与所得控除額が150万円なら、その半分の75万円を超えた自己負担分が控除の対象になるイメージです。ただし実際に適用に至るのは、会社の負担が薄く自己負担が大きくなった場合などに限られます。会社が発行する証明書を添えて確定申告が必要で、年末調整では手続きできません。
- 住宅ローン控除の継続: 単身赴任で家族が引き続き自宅に居住していれば、住宅ローン控除を継続して適用できる場合があります(単身赴任である旨の届出等の要件を確認)。家族も転居して自宅が空き家・賃貸になると扱いが変わるため、賃貸化・売却を検討する前に確認してください。
税の適用は金額・状況で変わります。控除の可否や必要書類は、税務署または税理士にご確認ください。
会社への費用精算の実務
転勤費用は「立て替えて後から精算」が一般的です。精算をスムーズに進めるための実務ポイントを整理します。
- 見積書・領収書・契約書の控えを費目ごとに保管する(会社は実費精算のために原本を求めることが多い)
- 支給対象・上限・振込時期を着手前に人事へ確認する(支給が翌月以降になると立替期間が長引く)
- 立替額が大きい場合は仮払い(前払い)制度の有無を確認する
- 会社指定業者があっても、相見積もりが認められていれば3社程度から取得し最安値を提示する
- 非課税(実費弁償)と課税(一律支給)の費目を分けて把握し、確定申告の要否を見込んでおく
精算で起きやすいトラブルと対策も知っておくと安心です。領収書の紛失は実費精算では致命的で、原本が必要になることが多いため、宛名・但し書きを整えて費目ごとに保管します。会社指定業者だけの見積もりは競争が働かず割高になりがちなので、相見積もりの可否を先に確認します。支給が翌々月になると立替期間が長引き家計を圧迫するため、金額が大きい場合は仮払い制度の有無を確認しておきます。いずれも着手前に人事へ書面で確認しておくことで多くは防げます。
会社の支援が薄いとき・自己都合の異動のとき
転勤の費用支援は会社によって差が大きく、規程が整っていない中小企業や、本人の希望による異動(自己都合)では、会社負担が限られることがあります。支援が薄い場合の考え方を整理します。
- まず規程の有無と範囲を確認する: 「転勤旅費規程がない」場合でも、慣例で一部を負担することがあります。過去の転勤者の扱いを人事に確認します。
- 負担してほしい費目を具体的に相談する: 全額でなくても、引越し業者代や赴任旅費など会社都合性の高い費目にしぼって相談すると通りやすいことがあります。
- 自己負担を抑える工夫: 相見積もりで引越し費用を下げる、繁忙期(3〜4月)を避ける、荷物を減らして単身プランに収める、といった費用側の対策が効きます(詳しくは安く引越しする方法)。
- 自己負担分は控除の対象になり得る: 会社が負担しなかった転居費用は、給与所得者の特定支出控除の対象になる場合があります(前述)。領収書を保管しておきます。
会社都合の転勤か自己都合の異動かで税や手当の扱いも変わるため、辞令の位置づけ(会社命令か本人希望か)を確認しておくと、負担の交渉や確定申告の判断がしやすくなります。
内示から入居までのタイムライン
転勤は内示から赴任日までが短いのが特徴です。日数の目安を押さえ、どの手続きが「事前にしかできない」「あとからでよい」を切り分けておくと動きやすくなります。
- 内示当日〜2日: 赴任日・勤務地・期間を確認し、単身赴任か家族帯同かの方針を決定。就業規則の転勤旅費規程を人事に請求
- 3〜7日: 赴任先住居の方針(社宅 or 自己契約)を決め、内見・入居申込。持ち家がある場合は空き家・賃貸化・売却の判断に着手
- 入居審査(3日〜1週間): 賃貸の入居審査。並行して引越し業者へ相見積もり(繁忙期ほど早めに)
- 退去連絡(退去予定日の1ヶ月前まで): 旧居の管理会社・大家へ解約通知。連絡が遅れると翌月家賃が発生する契約が多い
- 転出の準備(引越し14日前から): 転出届は引越し予定日のおおむね14日前から提出可能。マイナンバーカードがあれば来庁不要の特例転出も選べる
- 引越し当日: 旧居の立ち会い・荷物搬出、新居で搬入・荷ほどき
- 転居後(14日以内): 転入届を新住所の役所へ提出。ライフライン開通、住所変更手続き、費用の精算請求
段取りで詰まりやすいのは「退去連絡」と「引越し業者の確保」です。退去連絡が退去予定日の1ヶ月前を過ぎると、旧居の翌月家賃が発生する契約が多く、二重家賃になりがちです。引越し業者は3〜4月の繁忙期ほど早く埋まり料金も上がるため、赴任日が見えた時点で相見積もりを取り始めます。役所手続きは「事前にしかできないもの(旧居での転出届)」と「あとでしかできないもの(新居での転入届)」を分けて考えると、必要な来庁回数を最小化できます。
赴任先で必要な手続きチェックリスト
転勤の手続きは項目が多く、役所・ライフライン・金融・学校に分かれます。それぞれの詳しいやり方は専用ガイドにまとめているので、ここでは全体像と期限だけを一覧にします。
| 手続き | 時期・期限 | 詳しいやり方 |
|---|---|---|
| 転出届 | 引越し14日前〜 | 転出届の出し方 |
| 転入届 | 転居後14日以内 | 転入届の出し方(過料5万円以下に注意) |
| マイナンバーカードの住所変更 | 転入後(原則90日以内) | マイナンバーカードの住所変更 |
| 印鑑登録 | 転入後 | 印鑑登録の手続き |
| 運転免許証の住所変更 | 転居後すみやかに | 運転免許の住所変更(警察署・運転免許センター) |
| 自動車の登録・車庫証明 | 転居後15日以内 | 車の住所変更・車庫証明 |
| 郵便物の転送 | 早めに(転送は1年間) | 郵便物の転送手続き |
| NHK・各種契約 | 引越し前後 | NHKの住所変更 |
| 国民健康保険・年金 | 転出入時(14日以内) | 保険・年金の住所変更 |
| 子の転校・転園 | 内示後早めに | ファミリー引越しの段取り |
| 電気・ガス・水道・ネット | 引越し1〜2週間前 | 電気/ガス/水道/ネット |
赴任先の役所窓口を先に確認しておく
転勤は赴任日が決まっているぶん、赴任先の役所手続きを「行ける日」に確実に済ませられるかが段取りの分かれ目になります。転入届は原則として新住所の役所窓口で行うため、赴任先の市区町村の受付窓口・開庁時間・夜間や休日の窓口の有無・必要書類を先に把握しておくと、平日に休みを取りにくい転勤者でも手続きを計画に組み込めます。引越しプロでは市区町村ごとの役所窓口情報をまとめています。赴任先が決まったら、該当する市区町村のページで窓口の詳細を確認してください。
- 赴任先の市区町村ページ(例: 新宿区の役所手続き/大阪市の役所手続き)で、転入届の窓口・受付時間・週末や夜間の対応・必要書類を確認
- 単身赴任で住民票を移すか迷う場合は、上の「住民票は移すべき?」も参照
確認しておくと役立つのは、平日夜間や休日にも開いている窓口(第◯日曜開庁・駅前サービスコーナー等)の有無、マイナンバーカードを使った来庁不要の手続きの可否、代理人が申請するときの委任状の要否です。3〜4月は役所も繁忙期で待ち時間が長くなるため、受付時間の後半や比較的すいている曜日をねらうと待ち時間を減らせます。会社の着任日と役所へ行ける日が合わない場合は、事前にできる手続き(転出届)を旧居側で済ませておき、赴任後は転入届に集中できるよう組み立てます。
単身赴任 vs 家族帯同 の判断ポイント
| 判断軸 | 単身赴任が向く | 家族帯同が向く |
|---|---|---|
| 赴任期間 | 1〜3年の短期 | 3年以上の長期 |
| 子供の学齢 | 受験期(中3・高3) | 小学生以下・高校卒業後 |
| 配偶者の就業 | 正社員でキャリア継続中 | 転居に対応できる・転職可能 |
| 住宅ローン | ローン中の自宅を維持したい | 賃貸化 or 売却を検討中 |
| 会社支援 | 単身赴任手当が手厚い | 家族帯同で社宅提供あり |
| 金銭負担 | 二重生活の負担を手当がカバー | 二重生活の負担を避けたい |
どちらとも決めきれない場合は、まず本人が単身で赴任し、子の学期の区切りや配偶者の退職・転職の準備が整い次第あとから家族が移る、という段階的な帯同もよく取られます。子の転校・転園の具体的な流れはファミリー引越しの段取りを参照してください。
単身赴任の二重生活コストと手当のカバー範囲
単身赴任は「家族の住まい」と「赴任先の住まい」の二重生活になり、固定費が増えます。手当がどこまでこの増加分をカバーするかで、家計の負担感が大きく変わります。増える主な費目は次のとおりです。
- 赴任先の家賃・共益費: 社宅なら市場家賃の3〜7割程度に抑えられ、自己契約でも家賃補助(月平均1万7,000円ほどの事例)で一部が軽くなります。
- 光熱費・通信費の二重化: 電気・ガス・水道・インターネットが2世帯分になります。赴任先は単身向けの契約に切り替えると基本料金を抑えられます。
- 帰省の交通費: 帰省旅費が月1〜2回分支給される企業もあります。支給回数を超える帰省は自己負担です。
- 食費・日用品の二重化: 外食が増えやすく、単身分の生活費が上乗せになります。
単身赴任手当(月3〜10万円程度)と帰省旅費でこれらをどこまで賄えるかを、赴任前に一度試算しておくと安心です。手当が手厚い会社なら単身赴任の金銭負担は抑えられますが、手当が薄い場合は家族帯同のほうが総額で有利になることもあります。赴任先での荷造りや単身の生活立ち上げの具体は単身引越しの段取りにまとめています。
赴任先住居の選び方
社宅・社員寮
会社が借り上げた住居や独自の寮です。市場家賃の3〜7割程度の安価で住めることが多い一方、退去時の原状回復義務や、家族構成による入居制限がある場合があります。申請は会社の人事・総務へ。電気・ガス・水道・インターネットの契約は、社宅であっても入居者本人が行うのが標準です。
自己契約の賃貸
自分で物件を選んで契約します。家賃補助(月平均1万7,000円ほどの事例)が支給される企業が多く、物件選びの自由度が高い反面、初期費用の自己負担が大きくなりがちです。会社の家賃補助の上限額・対象エリア・契約名義(本人か会社か)を事前に確認してください。
時間がないときの赴任先住居の決め方
転勤は内示から赴任日までが短く、現地へ何度も足を運べないことがほとんどです。限られた時間で住居を決めるための現実的な進め方を整理します。
- オンライン内見を活用する: 現地の不動産会社にビデオ通話で部屋を案内してもらい、来訪なしで申し込む方法が広がっています。周辺環境はマップの航空写真やストリートビューで補います。
- 入居審査の時間を見込む: 賃貸の入居審査は3日〜1週間かかります。勤務先・年収の書類をあらかじめ用意しておくと審査が早まります。会社の家賃補助で契約名義が会社になる場合は、法人契約の必要書類を人事に確認します。
- まず仮住まいで着任する: 物件が間に合わないときは、会社の一時的な宿泊費支給やマンスリーマンションで着任し、落ち着いてから本契約に移る方法もあります。単身赴任なら社宅・社員寮の空き状況を先に確認すると早いことがあります。
- 条件に優先順位をつける: 通勤時間・家賃上限(会社補助の範囲)・間取りのうち、譲れない条件を2つに絞ると短期間でも決めやすくなります。
持ち家がある場合の扱い
持ち家をもつ人の転勤では、自宅をどうするかが大きな判断になります。主な選択肢は次の3つで、赴任期間と戻る見込みで選びます。
- 空き家として維持: 短期赴任で戻る見込みが高い場合。管理・防犯・固定資産税の負担は続く
- 賃貸に出す: 長期赴任で戻る見込みがある場合。家賃収入を得られるが、住宅ローン中は金融機関への相談が必要(居住用ローンのまま賃貸に出せないことがある)。戻ったときに退去してもらえるよう定期借家契約を選ぶ例が多い
- 売却する: 戻る見込みが低い場合。売却には数ヶ月かかることが多く、内示後すぐに動き出す必要がある
賃貸に出す場合は、貸している間の管理(入居者募集・家賃回収・修繕対応)を自分で行うか、管理会社やリロケーション会社に委託するかも決めます。遠方赴任では委託が現実的で、その分の手数料(家賃の数%程度)がかかります。戻ったときに確実に自宅へ戻れるよう、期間を定めて更新のない定期借家契約を選ぶ例が多いですが、その分だけ借り手がつきにくく家賃を下げる必要が出ることもあります。
住宅ローン控除は、単身赴任で家族が自宅に住み続ける場合は継続できることがあります。賃貸化・売却はローン契約や税に影響するため、金融機関・税務署への確認を早めに行ってください。
海外赴任(海外転勤)の場合
海外への転勤は、国内転勤に加えて住民票と社会保険・税の扱いを決める必要があります。会社の海外赴任規程を確認し、準備は3〜6ヶ月前から始めると安全です。
- 住民票の扱い: 1年以上の海外赴任は、出国前に転出届を出して住民票を抜く(海外転出)のが原則です。住民票を抜くかどうかで、次の社会保険・税・年金の扱いが変わります。
- 国民健康保険・国民年金: 住民票を抜くと国民健康保険の資格を失います。国民年金は任意加入を選べます。会社の海外赴任者向け保険や現地の医療制度も合わせて確認します。
- 住民税: 住民税は前年の所得に対して翌年課税されるため、出国後も納税義務が残る分があります。納税管理人を選任して納付を代行してもらう方法があります。
- 国内の荷物・契約: 国内の荷物は保管(トランクルーム等)か海外発送かを選びます。銀行口座・クレジットカードは、住民票を抜くと維持できないものがあるため、出国前に各社へ確認します。
- 国際引越し: 船便(安いが1〜2ヶ月)と航空便(速いが高い)を荷物の緊急度で使い分けます。国際引越しに対応する業者へ早めに見積もりを取ります。
海外赴任の社会保険・税は個別事情で扱いが分かれます。会社の担当部署・年金事務所・税務署で最新の取り扱いを確認してください。
転勤の引越しでつまずきやすい注意点
転勤ならではの失敗は、時間の短さと「会社負担のつもりが自己負担だった」というすれ違いから起きがちです。あらかじめ知っておくと避けられます。
- 会社負担の範囲を思い込みで進める: 規程の上限や対象外費目を確認せずに契約すると、精算で自己負担が想定より膨らみます。見積もり段階で費目ごとに人事へ確認します。
- 退去連絡が遅れて二重家賃: 旧居の解約通知が退去予定日の1ヶ月前を過ぎると翌月家賃が発生する契約が多く、赴任先と旧居の家賃が重なります。
- 繁忙期に業者が確保できない: 3〜4月は予約が埋まりやすく料金も上がります。赴任日が見えた時点で相見積もりを始めます。
- 住民票を移さず放置: 転入届を出さないと行政からの通知が届かず、選挙・国民健康保険・各種手当に影響します。転入届は14日以内が原則で、遅れると過料(5万円以下)の対象です。
- 子の転校書類の手配が遅れる: 在学校での手続き(在学証明書・教科書給与証明書)に時間がかかることがあるため、内示後すぐに学校へ相談します。
- 手当の課税を見落とす: 一律支給の手当は課税で手取りが減ります。額面のまま家計を組むと見込みがずれます。
関連ガイド
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赴任先の電気・ガスの開通受付
赴任先の新居の電気・ガスの開通手配を受け付けています(水道・インターネットはご案内のみ)。担当者より折り返しお電話します。
本フォームの対象範囲は、新居の電気・ガスの開通取次と、水道・インターネットの開始手続きのご案内です。旧居の停止・解約手続きは現在ご契約中の各事業者へ直接ご連絡ください。補助金の申請代行・申請相談は承っておりません。
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