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高齢者の施設入居・実家じまいの引越しガイド

高齢者の介護施設入居・実家じまい・住替えは、家族の体力的・精神的負担が大きい引越しです。本ガイドでは、施設入居までの段取り、実家の家財整理・遺品整理業者の選び方、住所変更(介護保険・後期高齢者医療・年金)、実家の売却・解体まで、家族のチェックリストとして整理します。

高齢者の引越しパターン別の段取り

パターン1: 介護施設への入居

  1. 施設選定(特養・有料老人ホーム・サ高住・グループホーム等)
  2. 入居決定・契約(一時金・月額利用料の確認)
  3. 持ち込み可能品リストの確認(衣類・身の回り品・小型家電中心)
  4. 不要家具家電の処分(粗大ゴミ予約・家電リサイクル)
  5. 引越し業者手配(小規模引越し or 単身パック)
  6. 住所変更手続き(介護保険・年金・住民票)
  7. 実家の今後(売却 or 賃貸 or 解体)の検討

パターン2: 子供宅への同居・近居

  1. 子供と相談し同居 or 近居の判断(自治体の同居・近居支援では距離の要件が定められていることがある)
  2. 住宅のバリアフリー化(手すり・段差解消)の検討
  3. 三世代同居・近居支援補助金の確認(自治体により)
  4. 家財整理(持ち込めるもの・処分するもの)
  5. 引越し業者手配
  6. 住所変更・各種手続き

パターン3: 高齢者施設から別施設への転居

  1. 転居理由の整理(医療必要度上昇・費用負担・家族近居等)
  2. 新施設の選定・入居審査
  3. 旧施設での退居手続き(清算・私物引取り)
  4. 転居(多くは小規模、施設の送迎で対応可能)
  5. 住所変更

施設入居に必要な書類と持ち込みの可否

介護施設・有料老人ホームなどへの入居では、健康や収入に関する書類がいくつも要ります。施設ごとに違うので、入居案内の指示に従いますが、共通して求められることが多いのは次のようなものです。早めに手配しないと、入居日に間に合わないことがあります。

  • 健康診断書・診療情報提供書(かかりつけ医が書くもの。予約から発行まで日数がかかる)
  • 介護保険被保険者証・介護保険負担割合証
  • 後期高齢者医療または健康保険の被保険者証
  • 所得や課税を証明する書類(費用の減額制度を使う場合)
  • 本人と、身元引受人(連帯保証人)の印鑑・本人確認書類

持ち込みは、身の回り品が中心です。家具や家電は施設に備え付けのことが多く、持ち込めるものが決まっています。安全のため、刃物や火を使うもの(ライター・こんろ)、大量の現金や貴重品は持ち込めないのが一般的です。施設の「持ち込み可能リスト」を必ず確認し、名前を書いておくと紛失を防げます。

実家じまいの段取り(家族で進める)

  1. 本人の意向確認
    捨てたくないもの・貴重品の場所・処分してほしいものを聞き取り。本人不在で勝手に進めると後悔。
  2. 貴重品の確保
    権利書・通帳・印鑑・宝石類・現金・年金手帳・マイナンバーカード等を最初に保管。
  3. 家財の仕分け
    「残す(持ち込み)」「売る(買取)」「捨てる(粗大ゴミ)」「寄付」の4分類。家族で1部屋ずつ進める。
  4. 処分業者の見積もり
    遺品整理業者・リサイクル業者・粗大ゴミ自治体予約。1軒分で10〜50万円。
  5. 写真・思い出の品のデジタル化
    アルバム・手紙・ビデオテープをスキャン・データ化。専門業者あり。
  6. 引越し業者手配
    残す家財を新住居に運搬。少量なら単身パック・赤帽。
  7. 実家のクリーニング
    売却・賃貸の場合はハウスクリーニング(5〜15万円)。空き家保管のみなら最低限の清掃。
  8. 実家の売却・賃貸・解体の判断
    不動産業者査定・解体業者見積もりを取る。空き家バンク登録も検討。

高齢者向けの住所変更手続き

手続き 期限 窓口・方法
転入届・転出届 14日以内 市区町村役所。本人来庁が原則だが代理人申請可
介護保険被保険者証 転入時 市区町村介護保険担当。要介護認定情報は引き継がれる
後期高齢者医療被保険者証(75歳以上) 転入時 市区町村役所。同一広域連合内なら継続、別なら新規発行
国民健康保険(74歳以下) 転入後14日以内 市区町村役所
年金(厚生年金・国民年金) 速やかに 日本年金機構(年金事務所)またはねんきんネット
運転免許証 速やかに 警察署・運転免許センター。返納の検討も
マイナンバーカード 転入届と同時 市区町村役所
銀行・証券口座 速やかに 各金融機関の窓口・オンライン
施設入居では「住所地特例」に注意

介護保険施設や特定施設などに入るために、元の住所とは別の市区町村へ住民票を移す場合、元の市区町村が引き続き介護保険の保険者になる「住所地特例」という仕組みがあります(施設のある市区町村に費用負担が集中しないための制度)。対象になるかは施設の種類によって決まり、届け出が必要です。転入・転出の手続きのときに、役所の介護保険の窓口で「住所地特例に当たるか」を確認してください。

家財処分の費用目安

処分方法 費用目安 特徴
粗大ゴミ(自治体) 1品 1,000〜3,000円 事前予約・搬出は自分。最も安価
家電リサイクル(4品目) 1台 1,500〜5,000円 + 運搬 冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコン
不用品回収業者 軽トラ1台 1.5〜3万円 分別不要・即日対応・搬出代行
遺品整理業者 1部屋 3〜10万円 / 1軒 10〜50万円 仕分け・搬出・処分・清掃まで一括
リサイクルショップ買取 収入になる 新しい家具家電・ブランド品向け
フリマアプリ 収入になる 梱包・発送の手間あり、時間かかる

遺品整理・家財整理を業者に頼む場合の目安(間取り別)

家が広く物が多いほど、作業する人数と処分量が増えて費用が上がります。おおよその目安は次のとおりです。エレベーターのない集合住宅、搬出が大変な立地、量が特に多い場合は、これより高くなります。

間取り 費用の目安
1R・1K 3〜8万円程度
1LDK・2DK 7〜20万円程度
2LDK・3DK 12〜30万円程度
3LDK・4LDK以上(一戸建て) 20〜60万円程度

金額は業者や地域で差が大きいため、必ず複数社から見積もりを取り、作業範囲(仕分け・搬出・処分・清掃・買取の有無)をそろえて比べてください。買取できる家具・家電があると、その分だけ差し引かれて総額が下がることがあります。悪質な不用品回収を避けるため、一般廃棄物の許可や実績も確認します。

実家(空き家)の相続・売却で知っておく法制度

実家じまいでは、家財の片づけだけでなく、相続の登記・空き家の税金・売却の税優遇という3つの制度が関わります。知らずに放置すると、過料や増税、使えたはずの控除の取り逃しにつながります。制度は改正されることがあるため、実際の手続きは司法書士・税理士や自治体で確認してください。

相続登記の申請が義務になりました(2024年4月〜)

相続で不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です。2024年4月1日より前に相続していた分も対象で、その場合は2027年3月31日までが期限です。実家を売るには、まず名義を相続人へ移す登記が前提になります(解体する場合も、相続人の確認や建物滅失の登記が関わります)。

空き家のまま放置すると固定資産税が上がる

「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、倒壊のおそれなどがある「特定空家」や、放置すればそうなるおそれのある「管理不全空家」に指定され、市区町村から勧告を受けると、土地の住宅用地の特例(固定資産税を最大1/6に軽減)から外れます。結果として、土地の固定資産税が最大でおよそ6倍になることがあります。売る・貸す・解体するの判断を先延ばしにするほど、維持費のリスクが増します。

相続した空き家を売るなら「3,000万円特別控除」

相続した空き家(とその敷地)を一定の要件で売ると、譲渡所得から最大3,000万円が控除される特例があります。おもな要件は、①亡くなった方が一人で住んでいた家であること(老人ホーム入居直前まで住んでいた場合を含む)、②おおむね1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家であること、③相続後、人に貸したり使ったりしていないこと、④耐震基準を満たすか、家屋を取り壊して売ること、⑤売却代金が1億円以下であること、⑥相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ2027年12月31日までに売ること、などです。控除の額が大きいので、要件に当たりそうなら売却前に税理士へ相談してください。

出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法」国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(いずれも2026-07-16確認)。制度の要件は細かく、改正もあるため、必ず最新の内容を確認してください。

相談先の使い分け

実家じまいは、内容ごとに相談する専門家が違います。迷ったら、まず地域包括支援センター(高齢者の生活・介護)と、相続の窓口になる司法書士に当たるのが入口です。

相談先 頼れること
地域包括支援センター 高齢者の介護・生活の相談、施設や在宅サービスの案内(無料)
司法書士 相続登記(名義変更)の手続き
税理士 相続税、空き家売却の3,000万円控除など税金の相談
弁護士 相続人どうしの争い・遺産分割でもめたとき
不動産会社・解体業者 実家の査定・売却、解体の見積もり

施設・住替え先への引越し費用

施設や子ども宅への住替えは、持ち込む荷物が身の回り品中心で少量になることが多く、引越し自体の費用は抑えられます。荷物が少なければ、通常の引越しプランより単身パックや少量向けプランのほうが割安です。近距離(同じ市内)なら1万円台から、同一県内の中距離でも2万円台からが目安になります(時期・荷物量・階段の有無で変わります)。詳しい相場は引越し費用の相場ガイドで扱っています。

施設側が搬入の時間や搬入口を指定していることがあるので、引越し業者に伝えて日程を合わせます。エレベーターの養生や台車の使用について、施設の許可が要ることもあります。

実家を解体する場合の費用目安

売却や活用が難しく解体する場合、費用は建物の構造と広さで変わります。下は1坪あたりの目安で、付帯工事(庭木・ブロック塀・残置物の撤去)で増えることがあります。自治体によっては老朽危険家屋の解体に補助金が出ることがあるので、解体前に役所へ確認してください。

構造 解体費の目安(1坪あたり)
木造 3〜5万円程度
鉄骨造 4〜7万円程度
鉄筋コンクリート造(RC) 6〜8万円程度

例えば木造30坪なら、おおむね90〜150万円が目安です。金額は立地(重機が入れるか)や地域で大きく変わるため、複数の解体業者から見積もりを取って比べてください。

家族のチェックリスト

  • 本人の意向を必ず確認(独断で進めない)
  • 貴重品(権利書・通帳・印鑑・宝石・年金手帳)を最初に確保
  • 医療機関・かかりつけ医の継続性を確認
  • 引越し日は気候の良い時期(春・秋)を選ぶ
  • 環境変化によるストレス・認知症進行への配慮
  • 近所・友人とのお別れの時間を作る
  • 引越し当日は家族が必ず付き添う
  • 新居での生活リズム再構築をサポート
  • 遺品整理業者は複数社から見積もり(質に大きな差あり)
  • 本人が認知症で同意困難なら成年後見制度を検討

よくある質問

介護施設入居の引越しはどう進める?

①施設選定(特養・有料老人ホーム・サ高住等)と入居決定、②家財整理(持ち込めるのは身の回り品中心、家具家電は施設備付け)、③不要品処分(粗大ゴミ・買取・寄付)、④引越し業者手配、⑤住所変更(介護保険・後期高齢者医療・年金・住民票)。施設の入居案内に従って準備リストを作成。多くの施設で「持ち込み可能リスト」が事前提供されます。

実家じまいで何から手をつければ?

①親の意向確認(捨てたくないもの・貴重品の場所)、②貴重品(権利書・通帳・印鑑・宝石類)の確保、③遺品整理業者またはリフォーム業者の見積もり、④家財の仕分け(残す・売る・捨てる・寄付)、⑤粗大ゴミ・家電リサイクルの予約、⑥写真・思い出の品のデジタル化、⑦実家の売却 or 賃貸 or 解体の判断。一人で進めず家族・専門業者と分担すること。

高齢者の引越しで気をつけることは?

①体力的負担を考慮した日程(梅雨・真夏・厳冬期を避ける)、②環境変化によるストレス・認知症進行への配慮、③医療機関の継続性確保、④近所・友人とのお別れの時間、⑤本人の意向尊重、⑥引越し当日の付き添い、⑦新居での生活リズム再構築のサポート。家族の十分な準備期間と心のケアが重要。

介護保険・後期高齢者医療の住所変更は?

介護保険は、同じ市区町村内の引越しでも住所変更の届出が必要です。市区町村が変わる場合は転入時に新住所地で「介護保険被保険者証」が発行されます(要介護認定の情報は原則引き継がれます)。後期高齢者医療制度(75歳以上)は同様に新住所地で被保険者証発行。年金の住所変更は日本年金機構(年金事務所)または「ねんきんネット」でオンライン手続き。

実家の家具家電はどう処分する?

①家電リサイクル法対象(冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコン)は家電リサイクル券(1台1,500〜5,000円)+ 引取業者依頼、②粗大ゴミは自治体予約(事前1〜2週間、有料1,000〜3,000円/品)、③まだ使える家具家電は買取業者・リサイクルショップ・メルカリ、④遺品整理業者(一括対応、1部屋3〜10万円・1軒10〜30万円)、⑤リフォーム業者(売却前提なら原状回復+処分セット)。

実家を売却 or 賃貸 or 解体の判断は?

①売却: すぐ現金化でき、維持費や相続人どうしの分割を整理しやすい。価格は立地・築年数で変わり、解体費用の負担は取引条件による。②賃貸: 家賃収入を得つつ将来戻る選択肢を残す。リフォーム費用と空室リスクを考慮。③解体: 空き家のまま放置し、特定空家などに指定されて勧告を受けると、土地の固定資産税の軽減(住宅用地特例)が外れて税額が上がることがあります。解体費用は建物の構造・広さで変わります。地方の空き家は売れにくいため、自治体の「空き家バンク」も検討します。

遺品整理業者と引越し業者の違いは?

遺品整理業者は「家財の仕分け・処分・清掃」に特化(1軒10〜50万円)。引越し業者は「荷物の運搬」が主業務で、仕分け・処分は別途オプション。実家じまいでは①遺品整理業者で家財整理・処分、②残す品は引越し業者で運搬、の使い分けが効率的。一括対応の業者もあり(運搬+処分セットで20〜80万円)。

本人が認知症で引越しに同意できない場合は?

成年後見制度(法定後見・任意後見)を活用し、後見人が本人に代わって契約・引越しを進めることになります。家庭裁判所での後見人選任には2〜3ヶ月かかるため、認知症の症状が進む前の早期対応が重要。地域包括支援センター・社会福祉協議会・弁護士に相談を。

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本ガイドの根拠と最終確認

本ガイドは以下の一次情報を基に編集しています。各URLは記載の日付時点で生存確認済です。介護保険施設・有料老人ホームの入居要件・手続きは保険者(市区町村)や施設形態により異なるため、地域包括支援センター・施設窓口で個別にご確認ください。

  • 厚生労働省「介護保険制度の概要」(2026-05-03確認)— 介護保険サービス・施設入所要件
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