在宅勤務時代の引越しガイド
リモートワーク・在宅勤務が定着した今、引越しは「住むだけの場所」から「快適に仕事ができる場所」を選ぶ意思決定に変わっています。本ガイドでは、在宅勤務向けの物件選び、光回線の段取り、オフィス家具の運搬、税控除、Web会議に向く間取りまで、テレワーカー向けの引越し論点を整理します。
在宅勤務向け物件選びの7原則
- 仕事専用部屋を確保: 最低限1LDK以上。リビングと寝室を分ける
- 光回線対応物件: フレッツ光・NURO光・auひかり対応を確認
- コンセント数: 仕事部屋に最低6口(PC・モニター・充電器・周辺機器)
- Web会議の防音性能: マンションのD等級・隣室との壁厚を確認
- 共用ワークスペース付き: テレワーク向けマンションの選定
- 宅配受取設備: 宅配ボックス・郵便受けの大きさ
- 通勤可能距離: 月数回の出社に対応可能な範囲
在宅勤務に必要な部屋の広さの目安
仕事スペースを確保すると、住むだけのときより必要な広さが増えます。目安として、国土交通省の住生活基本計画(令和3年)で示された「居住面積水準」が参考になります。豊かな住生活の目安とされる誘導居住面積水準は、都市部の共同住宅(都市居住型)で単身40㎡、2人世帯55㎡、健康で文化的な最低限度を示す最低居住面積水準は単身25㎡、2人世帯30㎡とされていました。
在宅勤務では、この目安に加えて仕事用のスペース(デスク・チェア・収納で2〜3畳程度)を上乗せして考えると、生活と仕事が窮屈になりにくくなります。ワンルームで仕事と生活を兼ねる場合は、パーティションや配置で「オンオフの切り替え」ができるかを内見時に確認します。
※面積水準は国土交通省「住生活基本計画(令和3年)」で示された参考値です。実際に必要な広さは職種・機材・同居人数で変わります。
都心か郊外か——テレワークで変わる立地の選び方
出社の頻度が下がると、住まい選びの重心が「駅からの近さ・通勤時間」から「広さ・住環境・家賃」へ移ります。通勤の頻度別に、立地の考え方を整理します。
| 出社の頻度 | 立地選びの考え方 |
|---|---|
| ほぼフルリモート | 通勤時間の制約が小さく、郊外や地方で広さ・家賃・住環境を優先しやすくなります。ネット回線の品質と、たまの出社にかかる交通費・時間は要確認です |
| 週1〜2回出社 | 「多少時間がかかっても許容できる範囲」で郊外を選ぶ人が増えています。特急・快速の停車駅や乗り換え回数を基準にすると通勤負担を抑えられます |
| 週3回以上出社 | 従来どおり通勤時間を重視しつつ、仕事部屋を確保できる間取りを優先します |
郊外・地方は家賃を抑えて広さを得やすい一方、光回線の対応状況や生活利便施設は物件差が大きいため、内見・事前確認が重要です。
光回線の引越し段取り
| パターン | 所要日数 | 費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 同じ事業者で移転 | 2〜3日〜2週間 | 工事費2,200〜9,900円 | 契約継続、解約金不要 |
| 乗り換え(解約+新規) | 2〜4週間(繁忙期1〜2ヶ月) | 工事費0〜44,000円 解約金0〜10,450円 | キャンペーンは事業者・時期で異なる |
| 新規開通(既存契約なし) | 2〜4週間(繁忙期1〜2ヶ月) | 工事費0〜44,000円 | 工事費の割引・特典は事業者・時期による |
| ホームルーター(WiMAX等) | 当日〜3日 | 月額4,000〜5,500円 | 工事不要・コンセント挿すだけ |
| モバイルWiFi(一時利用) | 当日 | レンタル500〜1,500円/日 | 引越し直後の繋ぎに最適 |
Web会議に必要な回線速度
| 用途 | 推奨速度(上下) | 回線目安 |
|---|---|---|
| 音声通話のみ | 0.1Mbps以上 | 4G LTE・WiFi いずれもOK |
| 1対1ビデオ通話(HD) | 1.2〜1.8Mbps | 光回線・WiMAX・楽天モバイル |
| グループビデオ会議(HD・3-4人) | 2.5〜3Mbps | 光回線・WiMAX |
| グループビデオ会議(HD・5人以上) | 4Mbps以上 | 光回線推奨 |
| 画面共有・資料共有 | 5〜10Mbps | 光回線推奨 |
| 4K画質ビデオ会議 | 15〜25Mbps | 光回線(NURO・auひかり等高速) |
マンションでは配線方式や夜間の混雑によって実測値が公称値より下がることがあります。内見時や契約前にスピードテストで実測を確認しておくと安心です。
オフィス家具の運搬
- PCモニター(大型27インチ以上): メーカー専用箱があれば最優先で利用、なければプチプチ・毛布で完全保護
- 電動昇降デスク: 天板と脚を分解、ケーブル類を整理して結束バンド固定
- モニターアーム: クランプ部分を分解、ボルト類は袋に入れてマジックで「アーム」と明記
- ゲーミングチェア: 大型のため搬入経路(エレベーター・階段・玄関の幅)を事前確認
- 外付けHDD・SSD: 衝撃に弱いため別途緩衝材、貴重品扱いで手荷物が安全
- サーバー・自作PC: 内部部品の固定(HDD・GPU等)を確認、自家用車手運びが理想
- UPS(無停電電源装置): バッテリー内蔵、立てて運搬、寝かせて長時間放置NG
引越し直後のWeb会議準備
- 引越し2-3週間前に光回線移転 or 新規申込み(工事日確定)
- 引越し当日: ホームルーター・モバイルWiFiを予備として準備
- ノートPCのテザリング(スマホ)で緊急時の繋ぎ確保
- Web会議用の照明・マイク・カメラを最初に開梱
- 引越し翌日の重要会議は別場所(カフェ・コワーキング)の予備プランも
- 新住所の電波状況・回線速度をスピードテストで確認
地方移住×リモートワーク
在宅勤務を続けながら地方へ移住する場合、地方創生の移住支援金の対象になり得ます。支給額は目安として世帯最大100万円・単身最大60万円で、18歳未満の世帯員1人につき最大100万円が加算されますが、金額・要件は年度や自治体で異なり、実施していない自治体もあります。
- 移住元の要件(東京23区在住、または東京圏の一部から東京23区へ通勤していた等)を満たすこと
- 東京圏の所属企業に在職したまま、テレワークで移住して勤務を継続すること(就業・起業など他の対象パターンもあります)
- 転入後の申請期限や、移住先での一定期間の居住意思などの要件を満たすこと
- 対象になり得るかは移住先の市町村への事前確認が必要(詳細は 移住支援金の詳細ガイド)
テレワーク向けの税・手当の扱い
- 会社支給の在宅勤務手当(実費弁償型): 実費を精算する形であれば給与課税されない扱いがあります(国税庁の在宅勤務に係る費用負担のFAQ参照)
- 会社支給の定額の在宅勤務手当: 毎月定額で支給されるものは給与所得として課税されるのが原則です
- 給与所得者の特定支出控除: 通勤費・転居費・研修費・資格取得費・勤務必要経費など法律で限定列挙された支出の合計が、給与所得控除額の2分の1を超えた場合に、その超えた分を控除できる制度です。在宅勤務の通信費・家具代は一般には対象外で、対象になるものも勤務先の証明と確定申告が必要です
- 事業所得・雑所得がある場合: 家賃・通信費・水道光熱費のうち、業務に使う部分を合理的に区分できる範囲で経費に計上できます(給与所得だけの方は家賃按分による経費計上はできません)
税の取り扱いは個々の状況で異なります。具体的な判断は勤務先・税務署・税理士にご確認ください。
内見時に確認しておきたいチェックポイント
在宅勤務向けの物件は、間取り図だけでは分からない要素が仕事の快適さを左右します。内見のときに次の点を確認しておくと、入居後の後悔を減らせます。
- 回線・電波: スマホでスピードテストを実施し、対応している光回線(建物への引き込み方式)を管理会社に確認します。とくにマンションは配線方式で速度が変わります。
- コンセントの位置と数: デスクを置く予定の場所に十分なコンセントがあるか、配置に無理がないかを見ます。
- 窓の向き・明るさ: 日中の自然光や、Web会議での逆光になりにくい配置かを確認します。
- 騒音・防音: 幹線道路・線路・上下左右の生活音を、可能なら平日日中に確認します。Web会議の声漏れが気になる場合は壁の遮音性能も要チェックです。
- 搬入経路: 大型モニター・昇降デスク・チェアが、玄関・廊下・エレベーターを通るかを測っておきます。
よくある質問
在宅勤務向けの物件選びのポイントは?
①仕事専用部屋を確保できる間取り(1LDK以上)、②光回線対応物件(フレッツ光・NURO光・auひかり等)、③コンセント数が多い、④Web会議の音漏れ対策(防音性能)、⑤テレワーク向けマンションの選定(共用ワークスペース付き物件も増加中)、⑥郵便受けが大きい(書類受取・宅配対応)。リモートワーク手当が支給される会社では家賃補助分を考慮した予算組みも可能。
光回線の引越し移転と新規開通、どちらが早い?
同じ事業者を継続する移転手続きは、工事が不要なケースもあり比較的短期で済むことがあります。乗り換え(解約+新規)は工事が必要で、一般に2〜4週間、繁忙期はさらにかかることがあります。在宅勤務を止めないために、引越しが決まったら早め(目安として1〜2か月前)に手配を始めると安心です。開通が間に合わない期間は、工事不要のホームルーターやモバイル回線でつなぐ方法もあります。
Web会議に必要な回線速度は?
Zoom・TeamsなどのWeb会議の公式要件は、HD画質のビデオ通話で概ね上下1〜4Mbps程度です。実務では余裕をみて上下5〜10Mbps程度あると安定しやすくなります。光回線であれば足りることが多いですが、マンションでは配線方式や時間帯によって実測値が下がることがあります。気になる場合はスピードテストで実測を確認してください。
オフィス家具の運搬で気をつけることは?
①PCモニター(特に大型27インチ以上)は梱包注意、②電動昇降デスク・モニターアームは分解必要、③ゲーミングチェアは大型のため搬入経路(エレベーター・階段・玄関)の幅確認、④外付けHDD・SSDは衝撃に弱いため別途緩衝材で保護。引越し業者の見積もり時に「在宅勤務機器」と伝え、専用梱包を依頼。
在宅勤務手当・経費は控除できる?
①会社から支給される在宅勤務手当は、実費を精算する実費弁償の形であれば給与課税されない扱いがあり、毎月定額で支給されるものは給与所得として課税されるのが原則です。②給与所得者の「特定支出控除」は、通勤費・転居費・研修費・資格取得費・勤務必要経費などが法律で限定列挙されており、これらの合計が給与所得控除額の2分の1を超えた場合に、その超えた分を控除できる制度です。在宅勤務の通信費や家具代は一般には対象外で、対象になるものも勤務先の証明と確定申告が必要です。③家賃を業務使用分として按分できるのは事業所得・雑所得などがある場合で、給与所得だけの方は家賃按分による経費計上はできません。税務の取り扱いは個々の状況で異なるため、具体的な判断は勤務先・税務署・税理士にご確認ください。
リモートワーク向け移住支援は?
地方創生の移住支援金には、東京圏の企業に在職したまま地方へ移り、仕事を「テレワークで継続」するケースも対象に含める枠があります。ただし、移住元(東京23区在住、または東京圏の一部から東京23区へ通勤していた等)・転入後の申請期限・一定期間の居住意思など細かな要件があり、実施していない自治体もあります。支給額は目安として世帯最大100万円・単身最大60万円で、18歳未満の世帯員1人につき最大100万円が加算されますが、金額・要件は年度や自治体で異なります。対象になり得るかは移住先の市町村に事前に確認してください。移住支援金の詳細ガイド。
テレワーク向け新築マンションのトレンドは?
①ワークスペース付き物件(書斎付き間取り)、②共用ワークラウンジ・コワーキングスペース付き、③高速光回線の標準装備、④遮音性能の高い住戸、⑤宅配ボックス(仕事用書類・備品の受取)、⑥スマートロック・宅配連動セキュリティ。こうした設備を備えた物件が増えています。設備が充実する分、同条件の一般的な物件より家賃はやや高めになる傾向があります。
引越し直後にWeb会議できるようにする段取りは?
①引越し2〜3週間前に光回線移転 or 新規申込み(工事日確定)、②引越し当日: ホームルーター(WiMAX・楽天モバイル等)を予備として準備、③ノートPCのモバイルWiFi・スマホテザリングで一時的に繋ぐ、④Web会議用の照明・マイクを最初に開梱して接続確認、⑤引越し翌日のWeb会議は念のため別場所(コワーキングスペース・カフェ)の予備プランも。
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新居の電気・ガスの開通受付
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