ペット可物件の探し方
ペットを飼っている世帯の引越しは、物件探しが最大の関門です。数が限られるうえ、初期費用や退去時の負担も通常より重くなりがちです。このガイドでは、ペット可・相談可・共生型の違いから、見つからないときの条件の緩め方、大家への交渉、契約と入居後の注意、退去時の原状回復までを、契約前に知っておきたい順で整理しました。
まず知る:ペット可・相談可・共生型の違い
「ペット可」とひとくくりにされがちですが、募集の上では大きく3パターンに分かれ、飼いやすさも費用も違います。ここを理解しておくと、検索や交渉のしかたが変わります。
| 種類 | 特徴 | 費用・物件数 |
|---|---|---|
| ペット可 | 飼育が認められている。種類・頭数・大きさに条件があるのが普通 | 敷金が上乗せされることが多い。物件数は比較的多い |
| ペット相談可 (応相談) | 大家の個別審査で可否が決まる。交渉しだい | 条件しだいで変わる。数は多いが「実質不可」のことも |
| ペット共生型 | 足洗い場・傷やにおいに強い建材など、設計から対応。住人も理解がある | 費用は高め。物件数は少なく希少 |
「ペット相談可」は、条件をそろえて交渉すれば通ることも、逆に猫は不可・小型犬のみといった制限で実質難しいこともあります。表示だけで判断せず、必ず個別に確認してください。ペット共生型は快適ですが数が限られるため、選択肢の一つとして押さえておく程度が現実的です。
物件が見つからないときの対処
ペット可は数が限られるため、条件をしぼりすぎると候補が出てきません。次の順で少しずつ広げると見つかりやすくなります。
- エリアを広げる
沿線や最寄り駅を1つに限定せず、隣の駅や別路線も見ます。都市部より郊外のほうがペット可の割合は高い傾向です。 - 駅からの距離をゆるめる
徒歩5分以内から徒歩10〜15分に広げるだけで、候補が増えます。 - 築年数にこだわらない
築年数の経った物件は「ペット可」を売りに募集していることが多く、むしろ狙い目です。 - 家賃の上限を少し上げる
数千円上げるだけで選択肢が広がることがあります。ペット可は家賃がやや高めな点も見込んでおきます。 - 間取りを1つ広げる
1LDKだけでなく2DKなども見ると、条件の合う物件が増えます。 - 仲介業者に直接相談する
ポータルに出ていない非公開物件を紹介してもらえることがあります。地域密着の業者ほど強みがあります。
どこで探すか(チャネル別)
| 探し方 | 特徴・向いている人 |
|---|---|
| 大手の不動産ポータル | 「ペット可」「ペット相談」のフィルターで絞れる。掲載数が多く、まずここから。条件を広げながら候補を集めるのに向く |
| ペット向けの専門サイト | ペット飼育を前提にした物件が中心。共生型など条件のよい物件を探しやすい(数は限られる) |
| UR・公社の住宅 | ペット可の住戸があり、礼金・仲介手数料・更新料がかからない。条件が合えば費用を抑えられる |
| 地域の仲介業者に相談 | ポータルに出ていない物件や、大家と交渉余地のある物件を紹介してもらえることがある。条件が厳しいときの最後の頼み |
まずポータルで相場と物件数の感覚をつかみ、条件が合わなければ専門サイトや仲介業者に広げる、という順が効率的です。分譲マンションの中古を借りる(賃貸に出ている住戸)場合は、そのマンションの管理規約でペット飼育が認められているかが前提になります。
大家・管理会社への交渉のコツ
「相談可」の物件では、大家の判断で可否が決まります。ペットの情報を正確にそろえて伝えることが、交渉を有利に進める土台になります。
- ペットの基本情報:種類・大きさ(体重)・年齢を具体的に伝える
- 健康・衛生:ワクチン接種の記録、去勢・避妊の有無を示す
- しつけの状況:無駄吠えをしない、トイレのしつけ済みなど、飼い方を具体的に伝える
- 頭数の見通し:多頭飼いや将来増える可能性があれば、最初に共有する(後出しはトラブルの元)
- 決まったことは書面に:許可された種類・頭数・条件は、口約束にせず契約書に明記してもらう
ペット不可と明記された物件で隠れて飼うのは、契約違反です。発覚すると、飼育の中止や強制退去を求められるほか、違約金・消臭・原状回復の費用を請求されることがあります。「小さいから」「短期間だから」と安易に始めると、後で大きな負担になります。飼育の可否は、必ず契約前に書面で確認してください。
犬の大きさ・頭数・猫で変わる物件選び
飼っているペットによって、探し方の力点が変わります。自分のケースに合わせて条件を組み立ててください。
- 小型犬・1頭:もっとも物件が見つけやすいケースです。「小型犬1頭まで」の物件が多く、条件を大きく広げなくても候補が出ます
- 中型犬・大型犬:可の物件が少なく、家賃も割高になりがちです。マンションだけでなく、戸建て賃貸やテラスハウスまで視野を広げると選択肢が増えます。庭付きなら散歩の負担も軽くなります
- 多頭飼い:頭数の上限がある物件が多いため、最初から頭数を伝えて探します。頭数が増えるほど退去時の負担も大きくなる点を見込んでおきます
- 猫:可の物件が犬より少ないため、条件をそろえて早めに動きます。脱走防止(網戸・ベランダ)と爪とぎ対策のしやすさを内見で確認します
初期費用の目安
| 項目 | 通常物件(家賃8万円の例) | ペット可物件(家賃8万円の例) |
|---|---|---|
| 敷金 | 家賃1か月(8万円) | 家賃2〜3か月(16〜24万円) |
| 礼金 | 家賃1か月(8万円) | 家賃1〜2か月(8〜16万円) |
| 前家賃 | 家賃1か月(8万円) | 家賃1か月(8万円) |
| 仲介手数料 | 家賃1か月(8万円) | 家賃1か月(8万円) |
| ペット飼育料(月額) | — | 月3,000〜10,000円(家賃に上乗せの場合) |
| 初期費用の合計 | 約32万円 | 約40〜56万円 |
上乗せの多くは、退去時の傷やにおいの補修を見込んだものです。大型犬・多頭飼いはさらに高くなる傾向があります。物件によっては、万一のときに備えて個人賠償責任保険への加入を求められます(火災保険の特約として付けられることが多い)。ペットが人にけがをさせた、共用部を傷つけた、といった場合に備える保険です。
初期費用を抑えたいなら、UR賃貸のペット可住宅を候補に入れると差が出ます(URは礼金・仲介手数料・更新料がかかりません)。自治体の公社住宅にもペット可があり、費用の扱いは運営主体で異なるため各窓口で確認してください。民間物件でも、敷金は交渉の余地があることがあります(ただしペット可では退去時の補修を見込んだ敷金設定なので、下げすぎると退去時にまとめて請求される点は理解しておきます)。引越し費用全体の目安は引越し費用の相場ガイドで扱っています。
契約時に確認すること
- 飼うペットの詳細を申告する
種類・頭数・大きさ・年齢を契約書に明記します。将来増える可能性も伝えておきます。 - 頭数・サイズの条件を書面で確認する
「小型犬1頭まで」などの条件を契約書に残してもらいます。口頭だけは後のトラブルの元です。 - 共用部のルールを確認する
廊下・エレベーターでの歩行のしかた(抱きかかえる等)、ゴミ出しの注意を確認します。 - 退去時の負担範囲を確認する
壁・床・畳の傷、においの補修について、どこまでが借主負担かを契約前に確認し、書面に残します。 - 飼育申請書を出す
分譲マンションでは管理組合への飼育申請が必要なことがあります。手続きが済むまで飼い始めないでください。
いつから探し始めるか
ペット可は数が限られるぶん、通常の物件探しより時間の余裕を持つのが安全です。引越し希望日の2〜3か月前から動き始めると、条件を広げながら比較する余裕ができます。ぎりぎりで探すと、「ペット可」というだけで条件の悪い物件を選ばざるを得なくなりがちです。
- 2〜3か月前:エリアと予算を決め、ポータルで相場と物件数の感覚をつかむ
- 1〜2か月前:候補を内見。相談可の物件は、この段階で大家に交渉する
- 1か月前:契約。飼育の条件を書面で確認し、必要なら管理組合へ申請する
繁忙期(1〜3月)は物件が動きやすく競争も激しいため、条件のよいペット可はすぐ埋まります。時期をずらせるなら、比較的落ち着く時期のほうがじっくり選べます。物件が決まったら、退去する旧居の解約通知も忘れずに(賃貸退去の手続き)。
ペットの保険(個人賠償責任保険)
ペット可物件では、契約の条件として個人賠償責任保険への加入を求められることがあります。これは、ペットが他人にけがをさせた、よその物や共用部を壊した、といった「他人への損害」に備える保険です。火災保険の特約として付けられることが多く、単独で入るより割安です。
ペット自身のけがや病気に備えるのは「ペット保険」で、これとは別のものです。物件の契約で求められるのは、基本的に他人への損害に備える個人賠償責任保険のほうです。すでに加入している火災保険やクレジットカードの特約でカバーされている場合もあるので、重複しないか確認してください。
内見でチェックすること
内見では、間取りや日当たりだけでなく、ペットにとって暮らしやすいかという目線で見ておくと、入居後の後悔を減らせます。特に、床材と脱走対策、留守番中の環境は当日に確認しておきたいポイントです。
- 床材:フローリングは滑りやすく、犬の足腰に負担がかかります。クッションフロアやカーペットだと歩きやすく、傷も付きにくい
- 脱走対策:窓・網戸の頑丈さ、ベランダの柵の高さ・隙間を確認。猫は特に脱走しやすいので念入りに
- 共用部の設備:玄関の足洗い場やリードフックなど、ペット向け設備があるか
- 留守番の環境:空調・給湯の設備が整っているか。夏冬の温度管理ができないと生体に負担がかかる
- 周辺環境:動物病院・ペットショップ・公園・散歩コースへの距離。犬なら散歩のしやすさは日々の生活に直結する
- 近隣の住人層:同じ建物にペット飼育世帯が多いか。理解がある環境だとトラブルになりにくい
入居後のトラブルを防ぐ(騒音・におい・傷)
ペット可物件でも、周囲への配慮を欠くとトラブルになります。分譲・賃貸を問わず、多いのは騒音のトラブルです。入居時にひと工夫しておくと、近隣との関係も退去時の費用も違ってきます。
| 対策 | 具体的な方法 |
|---|---|
| 騒音 | 床に遮音マットやタイルカーペットを敷く。足音や物音が下階に伝わりにくくなり、ペットの足腰にも優しい |
| におい | こまめな換気とトイレ掃除。空気がこもりにくい間取りを選ぶ。排水口に毛が詰まらないよう工夫する |
| 傷 | 壁の下部にはがせる保護シートを貼る。爪とぎ対策をする。柱や建具の角を守る |
| 近隣対応 | 入居時にあいさつしてペット飼育を伝える。鳴き声・抜け毛への配慮を欠かさない |
これらは退去時の原状回復費用を抑えることにも直結します。特に賃貸は壁や床が薄いことがあり、騒音対策は「ペット目線の住まい選び」と同じくらい大切です。
退去時の原状回復
退去時にいくら請求されるかは、多くの人が不安に思うところです。基準になるのは国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で、通常の使用による傷み(通常損耗・経年劣化)は貸主負担、それを超える傷や汚れは借主負担が原則です。ペットによる引っかき傷やにおいは、この「借主負担」に当たることが多くなります。
| 項目 | 負担の考え方・費用の目安 |
|---|---|
| 壁紙の引っかき傷・尿のシミ | 借主負担になりやすい(1部屋あたり3〜10万円程度) |
| フローリングの引っかき傷 | 借主負担になりやすい(部分補修5,000〜30,000円・全面張替え10〜30万円) |
| ペット臭の脱臭・消臭 | 借主負担になりやすい(オゾン処理など3〜10万円程度) |
| 網戸・畳の破損・張替え | 破損の程度により借主負担 |
| 壁紙の日焼けなど通常の経年劣化 | 貸主負担(ペットの有無にかかわらない) |
負担区分の原則(通常損耗は貸主・それを超える傷汚れは借主)は国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(2026-07-15確認)にもとづきます。表の金額はガイドラインが定めた額ではなく、補修の一般的な相場の目安です。契約時にペット飼育を正しく申告し、負担範囲を書面で確認しておけば、通常損耗まで請求されるような過剰請求は避けやすくなります。退去時の手続き全般は賃貸退去の手続きガイドで扱っています。
分譲マンションを借りるときの飼育規約
分譲マンションの一室を賃貸で借りる場合、大家との契約だけでなく、そのマンションの管理規約にも従います。「ペット可」と一口に言っても、管理組合ごとに細かい決まりがあります。契約前に次の点を確認してください。
- 規約で飼育が認められているか:「ペット飼育細則」などで、飼える動物の種類・大きさ・頭数が定められています
- 飼育の申請が必要か:管理組合への飼育申請書の提出が義務づけられていることがあります。申請前に飼い始めないでください
- 共用部のルール:廊下・エレベーターでは抱きかかえる、指定の動線を通るなど、歩かせ方の決まりがあることがあります
- 更新・確認:定期的に飼育状況の届け出や、頭数の確認を求められる管理組合もあります
規約に反した飼育は、飼育の中止を求められたり、トラブルの原因になったりします。「ペット可」の表示だけで安心せず、規約の中身まで確認しておくことが大切です。
ペットのいる新居で見落としやすい「電気」
ペット可の新居が決まったら、電気の手配も早めに済ませておきます。ペットのいる家では、留守番中も冷暖房を切れないことが多く、入居初日に空調が使えないと生体に負担がかかります。引越し総合ナビでは、新居の電気・ガスの開通手配のご相談を電話で受け付けています(水道・インターネットの手続きはご案内のみ)。旧居の電気・ガスの停止は、契約中の各事業者へ引越し前に直接ご連絡ください。
よくある質問
ペット可・ペット相談可・ペット共生型の違いは?
「ペット可」は飼育が認められている物件(種類や頭数の条件はあります)、「ペット相談可(応相談)」は大家の個別審査で可否が決まる物件です。「ペット共生型」は、足洗い場や傷・においに強い建材など、設計段階からペット向けに造られた物件で、住人もペット飼育に理解がある一方、数が少なく費用は高めです。「相談可」は交渉しだいなので、条件をそろえて臨むのが鍵になります。
ペット可物件が見つからないときはどうする?
エリアと条件を少し広げるのが基本です。沿線や駅からの距離を1〜2段階ゆるめる、築年数にこだわらない、家賃の上限を数千円上げる、間取りを1つ広げる、といった見直しで候補が増えます。都市部より郊外のほうがペット可の割合は高い傾向があります。築年数の経った物件は「ペット可」を売りに募集していることも多く、意外な狙い目です。ポータルで見つからなければ、地域の仲介業者に希望を伝えて非公開物件も含めて探してもらいます。
敷金・礼金はどのくらい上乗せされる?
ペット可物件は、退去時の傷やにおいの補修を見込んで、通常より敷金が家賃1〜2か月分ほど多いのが一般的です。加えて「ペット飼育料」として月々数千円が家賃に上乗せされる物件もあります。大型犬や多頭飼いは上乗せが大きくなりがちです。物件によっては個人賠償責任保険への加入を求められます。
大家・管理会社にはどう交渉すればいい?
「相談可」の物件では、ペットの情報を正確にそろえて伝えることが交渉の土台です。種類・大きさ(体重)・年齢、ワクチン接種の記録、去勢・避妊の有無、しつけの状況(無駄吠えの有無など)を具体的に示すと、大家が判断しやすくなります。多頭飼いや大型犬は審査が慎重になるため、早めに詳細を共有します。決まった条件は必ず契約書に書いてもらい、口約束で済ませないことが大切です。
頭数・サイズの制限はある?
多くの物件に「小型犬1頭まで」「猫1頭まで」などの条件があります。中型・大型犬が飼える物件は少なく、家賃も割高になりがちです。将来頭数が増える見込みがあるなら、その旨も含めて申告してください。隠して契約すると契約解除の理由になり、退去時の費用トラブルにもつながります。
退去時の原状回復はいくらかかる?
国土交通省のガイドラインでは、通常の使用による傷み(通常損耗・経年劣化)は貸主負担、それを超える傷や汚れは借主負担が原則です。ペットによる引っかき傷やにおいはこの「借主負担」に当たることが多く、壁紙の張り替え・床の補修・脱臭などの費用が敷金から差し引かれるか請求されます。契約時にペット飼育を正しく申告し、負担範囲を書面で確認しておくと、退去時の過剰請求を防げます。
猫可の物件はなぜ少ない?
猫は壁や柱で爪をとぐこと、においが残りやすいこと、脱走のリスクなどから、大家が敬遠しがちです。同じ「ペット可」でも「犬は可だが猫は不可」という物件は少なくありません。猫可の物件は競争率が高いため、条件をそろえて早めに動くのが有利です。
新居の電気・ガスの開通受付
ペット可物件の新居に合わせて、電気・ガスの開通手配についてご相談いただけます(水道・インターネットはご案内のみ)。担当者より折り返しお電話にてご連絡いたします。
本フォームの対象範囲は、新居の電気・ガスの開通取次と、水道・インターネットの開始手続きのご案内です。旧居の停止・解約手続きは現在ご契約中の各事業者へ直接ご連絡ください。補助金の申請代行・申請相談は承っておりません。
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